毎年2月ごろに天気予報やニュースで「春一番」というワードを聞きますね。
強い風の春一番がふくと、寒い冬がおわり、もうすぐ訪れる春を感じませんか。
今日は春一番の時期やメカニズムについてお話していきます。
春一番の意味とは
春一番とは立春(2月4日)から春分(3月20日)の間に吹く、その年のはじめの強い南寄りの風のことです。
一般的には春先に吹く強い南風として認知されています。
春一番という名前だけ聞くと、寒い冬があけ、暖かい春をイメージしてしまいがちですが、春一番は突風や竜巻などを伴うこともあり、多くの被害をもたらします。
また春一番が吹いた当日は春のように暖かく気温が上昇しますが、翌日からはまた元通り寒い毎日が続きます。
これを「寒の戻り」といいます。
春一番は決して春が来たというわけではないということを覚えておきましょう。
春一番の条件 関東地方
気象庁の発表する関東地方の春一番の気象条件は以下の4つになります。
1、低気圧が日本海側にある
2、南寄りの風が吹いている
3、最大風速が8m/s以上である
4、最高気温が平年値または前日より高い
この条件がそろうと気象庁は春一番を発表し、ニュースや天気予報で読み上げられます。
ですが、地方によって観測が異なってきます。
そのほかの地域でも「時期」「気圧配置」「風の方角」「風速」「気温」の5つの条件がそれぞれ定められており、その条件がそろうと春一番と呼ばれます。
春一番の由来は?
春一番と名付けたのは漁師たちだといわれています。
呼ばれるようになったのはある遭難事件がきっかけです。
長崎県壱岐島沖で強い南風により船が転覆してしまい、53名の漁師が遭難してしまったことから漁師たちのなかで「春一番」や「春一」という名前で呼ばれるようになったといわれています。
その後宮本常一という民俗学者が研究のためこの地域を訪れたときに春一番という言葉に出会い、この春一番という言葉を俳句歳時記で紹介したことによって、世間に知れ渡ったといわれています。
この遭難事件を忘れないように、長崎県郷ノ浦町内の岬には「春一番の塔」という船の帆をイメージしたものが建てられています。
春一番による被害は?
漁船の被害によって名付けられた春一番ですが、その被害は船乗りたちだけでなく私達にも危害を与えています。
少し前になりますが、1978年には春一番により竜巻がおこり、東西線の路線が橋の上で転覆する事件が起こりました。
最近では20121年には北日本から西日本にかけて暴風、高波、大雨と大荒れの天気となりました。
その影響で公共機関の運行見合わせや、航空機の欠航、停電や建物の崩壊などの被害がありました。
春一番はいつ吹く風?
春一番の恐怖がわかったところで春一番がいつ吹くのか気になってきました。
さきほど春一番の意味を説明しているときにいいましたが、春一番は立春から春分の日までの間に吹く強い南風のことをいいます。
ですので毎年日にちは前後しますが2月から3月の間に春一番は観測されます。
2019年を例にとると、立春は2月4日で春分の日は3月20日の間で、東京では3月9日に観測されています。
春一番ですが、地域によって条件も異なれば、吹く時期も異なります。
例えば2019年鹿児島県は3月21日、福岡県は2月19日、広島県は3月21日、香川県は2月19日、大阪府・愛知県では観測されず、新潟県は2月4日、そして東京が3月9日に観測されます。
最初に観測された新潟県と最後に観測された鹿児島県・広島県では、かなり日にちが変わってくることがわかりますね。
春一番のメカニズム
春一番が吹く原因として「温帯低気圧」が関わっています。
春一番の吹く時期にはこの温帯低気圧が日本海側で発達します。
そうすると風は気圧が低い方に抜けていくので、太平洋側の高気圧から日本海の低気圧に向かって南から暖かい風が吹き込み、低気圧の後ろにある換気との温度差が大きくなるので低気圧が発達します。
低気圧が発達すると南風が強くなり、これが春一番と呼ばれています。
春一番 吹く地域と吹かない地域があるの?
春一番ですが、吹く地域と吹かない地域があります。
北海道、東北、沖縄・奄美大島では日本海側の低気圧による南風がそれほど強くないので、春一番の対象外となっています。
春二番はあるの?
春一番のあとに吹いた強い南風のことを春二番と呼びます。
春一番のような天気予報で使う正式名称ではないですが、俗称として使われています。
まとめ
「春一番」という言葉だけ聞くと、なんだか温かい春をイメージしてしまいますが、実はなかなか凶暴な風です。
また日本全国で観測されるわけではなく、吹く地域と吹かない地域があるということにも驚きですよね。
春一番の正しい知識や恐ろしさを理解し、今年の春一番にはしっかりと安全を確保しましょう!
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